旅館の食事『山の芋鍋』乳頭温泉鶴の湯by水無月

もうずいぶん前のことですが、今では予約を取るのが難しいと聞く「乳頭温泉・鶴の湯」の、夕食が忘れられません。
「鶴の湯」と言えば、秘湯。写真でよく紹介される露天風呂は本当に素晴らしく、夜なら宿泊客しかいないし、暗いので、女性でも案外入ることができます。行ったのは通年で冬も営業をし始めた、最初の冬。露天風呂も、周りはすべて雪。お湯に入ったときもちょうど雪がちらほら、もう最高でした。
温泉としての乳頭温泉は最高ですが、あまりにも有名で評価も確定しているので、「まろぐ」ネタではないですね。

でも、隠れ逸品なのが「鶴の湯」の素朴な夕食です。その中でも、本物の囲炉裏で自在にかかった鉄鍋からいただく「山の芋鍋」は、絶品なのです。

旅館の食事というと、妙に懐石風で、品数で勝負みたいなところがあって、その割に結局特徴がなく、何が出されたか、記憶を辿るのは難しい、、という意見多くないですか？
私は、そうです。せっかく遠くまで旅行に来たのだから、ふだん食べられない、その土地のモノを少量（若くないので品数も量も不要！）美味しく食べたいのですが、期待はずれのことが多いです。

その点この「山の芋鍋」は、期待通りでした。豚肉の出汁に自家製の味噌で味を整え、そこに摺りおろした「山芋」の団子と、さまざまな山菜がくつくつと煮えています。芋の団子は、ほくほくと弾力があって、しっかり出しを吸っていて、今までにない美味しさでした。家で何度か、山芋を買って来て試しましたがまったく真似できません。
やっぱり、あの場所にいかないとダメですね。ぜひ、冬の「鶴の湯」へ！

鶴の湯：新館「山の宿」では、お昼の定食としても食べられるようです。またこの料理、実は田沢湖地域で30年前に観光振興で開発された、創作料理なのだとか。秋田のきりたんぽ鍋やしょっつる鍋に代わる、定番の山の鍋を作ろうと、創作コンクールが行われその優秀作品らしい。なので、いろんなお店でいろんな工夫の山の芋鍋が食べられる。今度行くときは食べ歩きしてみようかな。
発掘度：★★
商品力：♥♥